相続のホームドクター30選

相続基本編 相続税と贈与税の比較計算「税率でバランスをとる」


相談者


前回の贈与税の宿題8千万円について、まず8千万円から贈与税の基礎控除の110万円を引くと7,890万円となり、この金額に贈与税の速算表で、55%を掛け400万円を引くと39,395千円となるのですが、相続税の税額1,700万円と比べるとすごく高い。何か間違っているのでしょうか?


相続税のホームドクター


特に、間違いではありません。
贈与税は、相続税の補完税と言われていますが、これほど相続税に比べて、高いと言うことです。


相談者


何故こんなに高いでしょうか?


相続税のホームドクター


それは、贈与税は生前贈与による相続税逃れを防ぐ為の税だからです。
贈与と言う行為は、「何時でも・誰にでも・何度でも・幾らでも」贈与することが出来るので、ある程度以上に税率を高くしておかないと一生に一度の相続税と均衡がとれなくなると考えられているからです。


相談者


よくわかりました。それでは、具体例で相続税の税額を計算して下さい。


相続税のホームドクター


甲さんは、去年8月妻乙と子A、B、Cの4人を残して他界したとしましょう。
残された遺産の評価額は五億円、債務と葬儀費用は合わせて6000万円、前年にBに現金1千万円を贈与し、Bはこの贈与税231万円を支払っていたとしよう。
遺産分割り、次の通りであったとする。

乙は3億円と債務、葬儀費用を相続
Aは1億円
Bは5500万円
Cは4500万円 
それぞれ相続する合計額5億円

まず甲さんの遺産から「課税財産価額」を計算する。
「課税財産価額」= 5億円-6000万円+1000万円 = 4億5000万円 
次に、この4億5,000万円から基礎控除を差し引いて「課税遺産額」を計算する。

「基礎控除」= 3,000万円+(600万円×4人)
=5,400万円

「課税遺産額」= 4億5,000万円-5,400万円= 3億9,600万円 更にこの3億9,600万円を相続人それぞれに法定相続分に従って配分する。

乙(配偶者)は1/2で1億9,800万円
子A 、B 、Cはそれぞれ1/6で6,600万円。この額にそれぞれ、相続税率を掛け合わせると相続率が計算できる。
乙(妻)
1億9,800万円×40%-1700万円=6,220万円

子一人当たり
6,600万円×30%-700万円= 1,280万円
3人分で3,840万円(1,280万円×3人)乙と子3人の税額を合計した10,060万円を相続税の総額と言い、甲さんの遺産全体に対する相続税額となります。


※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。