相続のホームドクター30選

相続の生前対策編 Ⅱ 贈与と贈与税③「定期金」は機関で評価


相談者


次は「定期贈与」の税法上の取り扱いはどうなっているのでしょうか?


相続税のホームドクター


例えば父親が相続対策の一環として、子供達に一人当たり、贈与税の非課税限度の百十万円を毎年一月にお年玉としてプレゼントしていたとしよう。
これを五年間続けたとすると「毎年百十万円を贈与する」という定期金の贈与契約が最初の年にあった、という見方もあります。
最初の年に五年間で五百五十万円を受給する「定期金」の贈与をしたとして、この受給権を評価すると、次の評価表によりこの70%相当額の三百八十五万円が定期金の評価とされ、贈与税三十一万余円が課税される場合もある、と言う訳です。

評価額は、その期間に支払われる定期金の合計額に評価割合を乗じた額、即ち百十万円×五年間×70%で計算される。
「定期金」ってあまり聞かれない言葉なのですが、年金や家賃収入みたいに、決まった額が定期的に入ってくるお金と考えれば良い。次は負担贈与の税金の話です。

「負担贈与」は文字通り、「贈与」として取扱われるが「著しく低い対価」で財産を譲り受けた場合と同様な経済的効果があることから、その「負担額」と贈与された物件の「時価」との差額に相当する金額を贈与者から贈与によって取得したもの、とみなすことになっている。いわゆる「みなし贈与」といわれているものだ。

 問題は、この「時価」をどう考えるかだが、「単純贈与」の場合には「相続税法」や「財産評基本通達」によって評価した、いわゆる「相続税評価額」を言うのだが、負担付贈与についてはその時の「通常の取引価額」を時価とする、とされている。重要なポイントなので特に注意です。

言うまでもなく「相続税評価」による土地等の更地価額は、市街化区域内では「路線化評価」で評価。
この「路線価」は「評価の安全性」の見地から、売買事例等から導かれた公示価格(時価)の80%相当額とされている。
さらにこの土地等について、例えば貸家が建っている宅地については「貸家建付地」として、15%~18%程度の減算を行うことができる。

よって、「相続」や「単純贈与」での評価は、通常の取引価額(時価)が五千万円の「貸家建付地」は、八掛した上、15%減算した三千四百万円となるが、負担付贈与や定額譲渡があったとして、課税されることになっている。要するに「評価の安全性」の考慮をしないということです。



※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。