相続のホームドクター30選

相続が始まったら「消費税の準確定も必要」


相談者


「準確定申告」や、その他に相続人がやらなければならない税務上の手続きには、どんなことがあるのでしょうか?


相続税のホームドクター


「準確定申告」です。
死亡した年の一月一日から死亡の日迄の期間の所得について、原則として相続人が準確定申告を行う必要があります。

申告期限は「相続の開始を知った日の翌日から四カ月以内」。
この準確定申告にあたっての注意点としては、まず被相続人の所得から控除する「配偶者控除・扶養控除」ができるかどうかは、配偶者や扶養親族のその年の一年間の所得を見積もって判定する。

更に、「特定扶養親族」などの年齢によって適用される所得控除は、その年の年末日の年齢によって判定する、とされているのだ。
「医療費控除」は相続開始前に支払った額は、原則的には控除可。 「事業税」については、相続人が事業を継続しなかつた場合は、相続開始年分の必要経費として、見込控除額を計上できる。相続人が事業を継続した場合にば、賦課決定時に必要経費算入する、こと、とされている。

「固定資産税」については、相続開始の日前に「納付通知」があった場合にのみ必要経費に計上できるとされている。
「專従者給与」は、相続開始迄に支給したものについては原則として必要経費とされる。
以上が準確定申告についての主な留意点です。

準確定申告の添付書類として「死亡した者の××年分の所得税の確定申告の附表」があり、相続人の連名で、準確定申告に得る所得税の負担額を定めて届出ることになっている。
準確定申告は普通の確定申告とは違い、この他被相続人が事業者の場合には「事業の廃止届」の提出が消費税、所得税共に必要と言うことです。

次に被相続人の事業を継承した相続人の税務手続きにつては、次の通り。
まず第一は、所得税法上「個人事業の開発業等届出書」を、被相続人の死亡後一ヶ月以内に提出すること、とされている。
次いで、事業所得などについては、相続人が青色申告によりしたい場合、被相続人が白色申告者の場合で、その年の1月16日以降に業務を承継した場合、業務の承継をした日から2ケ月以内。被相続人が青色申告者の場合で、死亡の日がその年の1月1日から8月31死亡の日がその年の9月1日から日の場合は、死亡の日から4ケ月以内。10月31日の場合は、その年の12月31日。被相続人が青色申告者の場合で、死亡の日がその年の11月1日から12月31日の場合、翌年2月15日までに、「青色申告承認申請書」を提出する必要がある。同時に「青色事業專従者給与に関する届出書」も提出することとなる。

三番目は相続により、減価償却資産を承継した場合、建物以外の資産について定率法によりたい場合には「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出する必要がある。提出期限は、その年分の確定申告期限。

四番目は消費税に関する事項、被相続人が消費税の課税事業者であった場合には、相続人において、所得税と同様「消費税の準確定申告」を提出しなければならず、申告期限も所得税と全く同様なのです。
注意したいのは、被相続人の事業を相続人が承継した場合の「事業者免税点制度の特例」。

まず「相続開始の年」の取り扱いは、相続人又は被相続人の相続開始年の基準期間、即ち相続開始年の前々年の課税売上が事業を承継した相続人か被相続人の、いずれかが一千万円を超える場合には、免税事業者としない取り扱いとなっている。
「相続開始の年の翌年又は翌々年」は、相続人と被相続人のそれぞれの基準期間の課税売上の合計額が一千万円を超える場合には同様、免税事業者としないことになっている。

簡易課税制度の選択届出期限は、相続による事業承継の場合には、被相続人が簡易課税の適用を受けていた場合に限り、原則として相続開始の日の属する課税期間の末日、通常は十二月三十一日迄の届出により、その課税期間、又はその年度から簡易課税の適用を受けることができる、ということです。

当然のことながら、簡易課税の特例も相続によって、承継されるということになっていないので、この特例適用を受けようとする場合には、届出が必要だということを覚えて欲しい。


※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。