相続のホームドクター30選

相続の生前対策編 前提条件④「贈与が完了したかの確認を」


相談者


相続は、人が死亡した後でしかできないのでしょうか?
もし、生前に可能ならば教えてください。


相続税のホームドクター


生前における相続の代わりとなるものに、贈与(個人間のこと。会社への贈与は、寄付・出資金)と譲渡の二通りの方法があります。今回は、贈与について考えていきましょう。

贈与とは、個人間において、財産を渡す人が財産を貰う人から何も見返りなく、無償で財産の権利が移転することです。
一般的に、口頭による贈与は取り消すことができますが、文章による贈与は取り消すことができません。
さらに、預金等を通じてある程度纏った金額を贈与する場合、贈与が完了しているか(確実に相手のものになっているか)が問題になるケースが多くあります。

贈与されていないと判断された場合には、その贈与したとされる財産(預金等)は、相続発生後において財産を渡した人(被相続人)の遺産とされ、相続税の課税対象となってしまいます。
贈与が確実になされているか、どうかの注意点は次の通りです。

①財産を貰う人が認識していたか
②預金等の場合、名義は貰った人か
③通帳の日常的な保管は、貰った人がきちんと行っていたか
④通帳等の印鑑は、貰った人の固有の印鑑か(家族と同じものはダメ)。
また、その印鑑も貰った人が保管・管理していたか⑤預金等の引き出し・運用等は、貰った人が行っていたか。

これらが確実に行われていないと贈与と認められない場合があります。
また、場合によっては次のようなことも起りうるので注意が必要です。
例えば一千万円を五年間、毎年二百万円ずつ贈与することを文章等で取り決め、贈与が行われた場合、一千万円の全額がその取り決めをした年の課税対象となり、税額は二百三十一万円と多額の負担になります。
明確な取り決めがなく、毎年二百万円ずつ贈与された場合は、五年間で合計四十五万円の税額となり、大きく違ってきます。


※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。