相続のホームドクター30選

相続の生前対策編 前提条件⑥「土地を客観的に整理」


相談者


最近よく耳にする土地活用について、相続も含めて考えた場合のポイントを教えて下さい。


相続税のホームドクター


相続の生前対策として大切なことは、財産を分割しておくことと財産の評価を見直すことです。
それにより、相続税の納税に使える資金(資産)がどの程度あるのか把握する必要があります。
相続財産の中で約70%を占める「土地」は相続対策においてもっとも重要な財産です。
そこで、土地の有効活用について基本的な考え方と注意点を整理しておきましょう。

はじめに、所有する土地を客観的に整理します。固定資産税の名寄帳(土地家屋の物件一覧)により、収益性の高い土地と低い土地、現在居住している土地、将来処分する予定の土地と残す土地、等にわけます。
さらに、それぞれの土地を特性や環境、将来性などによって整理します。

残したいと思う土地の中で、現在収入はあっても固定資産税の負担が多く収益性の悪い土地や遊休状態の土地、また、相続税評価額の高い土地に対して、どのような対策を実行するかが大きな課題となります。対策についてわかりやすい事例を紹介します。


前定条件


  1. 甲さんの相続発生時の相続税評価額総額…7億円
  2. 甲さんの相続人…配偶者と子供3人
  3. 相続税額(配偶者税額軽減前)…約1億9千万円
  4. 税負担割合…約30.5%
  5. 1のうち、A土地(遊休地、170坪、相続税評価額1億円、相続税額2890万円)

対策例

A土地に工事代金1億円(全額銀行借入)のアパートを建築する。入居率100%と仮定。
対策後の評価額

(貸家建付地として評価)
建物…4200万円
(固定資産税評価及び借家権控除後)

結果として、土地と建物の評価額合計1億2700万円より、銀行借入額の1億円を引いた2700万円がA土地に対する相続税評価額となり、対策前より約7,000万円の減額となります。相続税額はA土地対応分約2,900円が減額となり総額約1億6千800万円となります。



※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。