相続のホームドクター30選

遺言の話①「遺言は紛争防止が3割」


相談者


ところで遺言書の話が出たついでに聞きたいのですが、遺言書を作成する人が増えている、と言われているが、何人位の人が遺言を残すのでしょうか?


相続税のホームドクター


遺言書の総数の集計はないが、全国の家裁における遺言書の検認数と公正証書遺言の数で見ると表の通り。

ほとんどの遺言は公正証書で行われているが、自筆の遺言書を作成する人が逐次、増えていることがわかります。
遺言を残す理由は、男女共、「遺産分割における紛争防止」のため、さらに子がなく、兄弟姉妹に相続させたくないので、配偶者に全財産を残すとか、また、老後の面倒を見てくれる子や兄弟姉妹などへ財産を残すや、配偶者や子に遺したくない、理由は「不和・浪費などです。

さて、遺言書の効力ですが、絶対的なものではない。しかし相続人全員が有効と認めた遺言、特に有効性の非常に高い「公正証書遺言」の場合、遺言通りに遺産分割しなければならないのか、という問題がある。

これについて、明確な規定はありませんが、相続人全員の協議によって、遺言の内容と異なる遺産分割は有効とされています。但し、相続人以外の者で、遺贈を受けた者がいる場合には、この者の権利を害することは出来ません。

この場合、たとえ、遺言書から委任を受けた遺言執行者がいても、死亡した者の代理人にはなれず、相続人の代理者として、遺言と異なる遺産分割協議を追認するしかないのです。何故なら、遺言によって、利益を受ける者がその利益を欲しない以上、これを強制で

特殊なケースの遺言として「遺産分割禁止の遺言」がありますが、これについては、これに対して遺産分割をすることができない、とされています。これについては、この遺言が誰かに受益を強制することにならないから、と言われているのです。



※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。