相続のホームドクター30選

相続の生前対策編 前提条件⑦「遺言は法的効果絶大」


相談者


相続が発生した後、相続争いが起こらないように遺言書を残しておきたいのですが、どんな点に注意したらよいですか?


相続税のホームドクター


相続争いは、「遺産分け」により発生します。引き継ぐ遺産の利用価格に関心が集まり、裁判に発展することも珍しくありません。この争いを防止するには、遺言書を作成しておくのが効果的です。

最近は、単に財産の分け方を連記するだけではなく、遺言書を作成した理由や、なぜこの様な分け方になったかと言う様な説明文のある遺言書も見かけます。
この様に、生前における財産分けの意思や理由をはっきりするだけでも相続争いを防ぐことが出来ると思います。
遺言書は、ただの紙切れ一枚でも、故人の「最後の意思表示」として、相続手続きの中では最優先されます。
所定の書式さえ満たしていれば、他人への財産分与も法的に有効です。

また、遺留分(注)を侵害する遺言も無効ではありません。
遺留分を侵害された相続人は「返してほしい」と請求する権利があるだけです。
したがって、遺言書を作成する場合は、絶大な法的効果のあるものだと認識し、後々のトラブル防止に努めなければなりません。

この様なことから、相続発生後においても、遺言書の有無により手続きの進め方が大きく違ってきます。
具体的には、公正証遺言書の場合、遺言書に記載された遺言執行人のみで相続手続き一切が完了します。逆に遺言書がない場合は、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の同意や署名などが必要になり、手続きが大変になります。

公正証書遺言とは、公証人のもとで、遺言者の選んだ二人以上を立会人とし、遺言者が口頭で述べた内容を公証人が筆記し、これを読み聞かせ、署名押印し作成されます。
裁判所の検認は不偽造・変造のおそれもありません。
遺言書を作成される場合は、公正証書遺言にするのが最も安心です。

将来にわたって家族円満が続くことを考えて、遺言を書かれてはいかがでしょうか?

(注)遺留分 兄弟姉妹以外の法定相続人に残しておく財産の法律上定められた最小限度。


遺言書作成数・遺産分割調停件数の推移


※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。