相続のホームドクター30選

相続の生前対策 Ⅱ 贈与と贈与税⑤「贈与の非課税財産の確認を」


相談者


贈与は、資産家の人達にとっては聞き逃せないことばかりですね。贈与税が元々かからないものを教えて下さい。


相続税のホームドクター


相続税法には「贈与税の非課税財産」の規定がある。
即ち、扶養義務者からの生活費、教育費で通常必要と認められるものは非課税とされているのが第六法則「孫の生活費や教育費は扶養義務者である祖父母に出してもらうこと」

生活費には治療費、養育費などは含まれ、教育費は義務教育費のみならず、学費、教材費など広く認められている。
生活費、教育費共必要な都度、直接これらの用に充てられるものが非課税とされているので、使い余りを貯蓄した分は課税扱いとされます。

又、「通常費用と認められるもの」とは、孫の生活、教育の程度と祖父母の資力、その他の事情を総合勘案して適当と認められる範囲とされている。要は、祖父母は孫の直系血族として、父母と共に扶養義務があるとされているので、父母よりも祖父母から出してもらう方が節税になる場合が多いということです。特に、医歯課程進学の向きは必須と思われる。

第七法則「贈与は一世代とばしを狙い、受贈者を孫とすることの検討を」
「孫」は通常、相続権がないので、祖母父から贈与により、遺産を取得しない場合には、祖父母の死亡に因る「相続開始前三年以内の贈与」であっても、相続税の課税価格に加算されない、というメリットもあります。

第八法則「未成年者である孫に贈与する場合は孫の親が受贈財産を管理することとし、特に預金は贈与者が印章・通帳の管理をしないこと」

第九法則「贈与すべき財産、贈与してはならない財産を峻別」
贈与すべき財産
 1 収益不動産、貸店舗・貸工場・アパートなどの賃貨物件。優先順位は、相続税評価額に対する収益率の高いものから。
 2 前項で贈与した建物の敷地。
 3 値下がりした上場株式等で配当利回りの高いもの。
 4 その他確実に値上がりが見込まれる土地その他の財産。

贈与してはならない財産
 1 相続税の課税価格の特例対象財産、特に推定被相続人の特定居住用小規模宅地や、特定事業用小規模宅地など。
 2 確実に値下がりが見込まれる土地など。

第十法則「特別障害者の信託受益権の贈与非課税枠を使うことを考える」
特別障害者の範囲は、障害程度一級又は二級の身体障害者及び重度の知的障害者等に該当する者を言い、非課税枠は、信託受益権の価額のうち六千万円迄、ということ。
信託財産の種類は、相続税法では金銭、有価証券、収益不動産の他三種類の財産が指定されているが、信託銀行・信託会社で金銭の信託しか取り扱っていないので、現実には「金銭信託」に限られている。 


※平成30年4月1日現在の法令に基づいて作成しております。